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西日本新聞会館40周年 天神スカイホールReBORN[第3回 記念座談会]

山笠の元気を
熊本・大分へ、世界へ

西日本新聞会館(福岡市中央区天神1丁目)は昨年、開館40周年を迎え、16階の福岡国際ホールがグレードアップして「天神スカイホール」に生まれ変わった。これを記念し「にぎわいのある福岡の街づくり」を主題にした座談会シリーズがスタート。第3弾の今回は、15日の追い山でフィナーレを迎える博多祇園山笠に注目。「博多祇園山笠を盛り上げよう」をテーマに、山笠を支える3氏が祭りの魅力や今年のトピックスなどを語り合った。

テーマ 博多祇園山笠を盛り上げよう 
左から◆博多祇園山笠振興会会長 豊田  侃也氏 ◆櫛田神社宮司 阿部 憲之介氏 ◆福岡商工会議所会頭 礒山  誠二氏

温かい人間関係を築きつつ
いろいろな人が活躍できる祭り

 ― 最初に770年余りの歴史を誇る「博多祇園山笠」の特徴や魅力を教えてください。

阿部 博多祇園山笠は、櫛田神社に祭る祇園大神に氏子が誠をささげる奉納神事です。全国にある素戔嗚尊(すさのおのみこと)を祭神とする神社の総本社、京都・八坂神社の祇園祭と信仰的には同じ行事になります。京都の場合は山鉾(やまほこ)巡行が主ですが、博多は承天寺の開祖、聖一国師が疫病を鎮めるため、人々の担ぐ台に乗って聖水をまいて回ったことに由来し、今のような舁(か)き回る行事になったとされています。若い人も楽しめ、子どもからお年寄りまで出番がある。山笠は都市化の中で薄れがちな温かい人と人との結び付きが生きている良さがあります。

豊田 時間を競う部分も特徴的です。また幼子を抱いて参加したり、年配者は疾走しなくてもいい「先走り」をしたり、台に付くにしても背の高い低いに合った位置がある。山笠はそれぞれの年齢や体格などに応じた役割があり、皆の力が合わさって動くのも大きな魅力といえます。

礒山 私は福岡部の出身ですが、銀行に就職して博多支店の支店長になり山笠と深く関わるようになりました。山笠は「動」の舁き山笠(やま)と「静」の飾り山笠の両面を満喫できるし、台はくぎを一切使わず縄を駆使して組み立てるなど自然と調和しているのも素晴らしいですね。数年前にも経験させていただきましたが、今年、再び集団山見せの台上がりをさせていただくことになり光栄に思っています。

―国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産登録への動きもあります。

豊田 今秋、エチオピアで開催されるユネスコの政府間委員会で、全国33件の祭りとともに博多祇園山笠は無形文化遺産に認証される予定です。未来の子どもたちが世界遺産という輝く勲章を心に着けて山笠を舁くのだと思うと感慨深いですね。

阿部 国指定重要無形民俗文化財である山笠が、さらに世界に認められるのは画期的なこと。とはいえ、山笠が博多のまちや人々と共にある祭りであることは普遍です。時と場合によって変えるべき点は変えても、不易の部分は守っていく。そうすることで文化遺産として未来に継承していけるのだと思います。

礒山 日本の伝統的な祭りの根本には、自然をあがめたり、生き物の生命を大切にしたりすることが息づいていますね。そんな日本の精神文化も含めて、山笠をはじめ、わが国のいろいろな祭りがユネスコに認められるのは、とても価値のあることだと思います。

天神1丁目の飾り山笠

飾り山笠の披露を早めて
各国からのお客さまを歓迎

礒山 今年の山笠では、宮司や会長をはじめ多くの山笠関係の方々のご理解の下、6月に福岡市で開催された社会奉仕団体「ライオンズクラブ」の国際大会に合わせ、本来7月1日の飾り山笠の公開を1週間早めていただきました。

豊田 世界各国から福岡にお越しになる方々をおもてなししたい、そして日本の伝統文化を知ってほしいという思いがありました。

阿部 公開は早めましたが、、毎年7月1日朝に執り行う、飾り山笠に神を招き入れる神事「御神入れ」の日程は動かしませんでした。これも先ほどもお話しした山笠においての不易の一つです。

礒山 今大会は、全国のライオンズクラブ会員の方々のご尽力で実現しました。国内はもちろん、欧米やアフリカ、南米など世界中から約3万8千人の方が福岡市に結集。パレードも行うなどまちじゅうが華やぎました。山笠という祭りや、おいしい食べ物など福岡の素晴らしさを多くの方に知ってもらい、それぞれの国に帰ってPRしていただける有意義な機会になりました。

豊田 会員制交流サイト(SNS)に飾り山笠の前で撮った写真をアップされていた海外の方も多くいらっしゃったようですし、かなり反響があったのではないかと感じています。

礒山 福岡はもとより、九州はインバウンドの観光産業を大事にしてきました。福岡市が、博多どんたくは200万人、山笠は300万人という人出の祭りを有しているのは、とてもありがたいことです。それも地域の皆さまをはじめ多くの方々の努力のおかげです。私どもを含め、各所が協力し山笠をさらに海外にアピールしていけたらと思います。

豊田 昨年はブラジルのテレビ局の取材陣が福岡を訪れ、リオデジャネイロ大会に向けてのドキュメンタリー番組制作のため、山笠を密着取材しました。人々が体を鍛え抜いて競い合うスポーツ的なものとして、山笠に着目したのだとか。山笠が世界に知られて「うちの国に来て舁いてほしい」という話になればうれしいですね。

阿部 当神社にも国外からの観光客が多く来られるようになりました。外国の人は異文化である和の世界に新鮮さを感じるようです。寺社や伝統行事など博多に息づく和の文化をきちんと残していくまちづくりを推進していくことも大事だと考えます。

博多祇園山笠公式キャラクター

山笠初の公式キャラクター
「雄伊沙」と「貴緒衣」が誕生!

―今年のもう一つの大きな話題は、山笠初の公式キャラクターの誕生ですね。

豊田 全国各地に祭りやまちのキャラクターがあるのに「そういえば博多にはないね」という話から始まり、山笠をもっと広く認知してもらうためにも公式キャラクターを制作しよう、と。阿部宮司も真っ先にこのプランに賛同してくださいました。地元企業の協力も得て、「雄伊沙(おいさ)」と「貴緒衣(きおい)」の男女の妖精から成る「博多 祝(いわい)めで鯛(たい)」のキャラクターが生まれました。

阿部 子どもが自分のまちの文化に関心を持ったり、山笠を全く知らない人が興味を抱いてくれるきっかけにもなるグッドアイデアですよね。

豊田 「かわいい」と評判も上々のようです。今後はバッジに加え、いろいろなグッズが販売される予定です。

礒山 山笠は男衆を支えるごりょんさんがいて成り立つという意味でも、男女のキャラクターというのはいいですね。グッズを幅広く展開して、国外から来られた方を含めさまざまな方にお土産や記念品として買っていただけたらいいですね。

―いよいよ山笠もクライマックスです。読者にメッセージを。

阿部 博多は人情味が残る温かいまち。ぜひ国内外から多くの方に博多に来ていただき、博多のまちと博多っ子の心意気が結実した山笠を堪能していただければと思います。

礒山 今年は熊本地震による自粛ムードもありますが、周りの県が元気にならないと熊本や大分の支援も盛り上がりません。山笠も多くの人に元気を送る祭りとして、15日の追い山を迎えたいものです。国外からも多くの人に来て楽しんでいただきたいですね。

豊田 追い山では、櫛田神社だけでなく、ぜひ舁き山笠が走る5㌔のコースの沿道にも見物に来てください。そして各所に置いている水おけで山笠や舁き手に水を掛けながら応援してくださればありがたい。山笠参加者も観客も、大きな感動をお土産にしてもらいたいと思っています。