column

才食兼美 天神スカイホール座談会 vol.2

新たな天神のにぎわい創造を

福岡市・天神の西日本新聞会館16階にある「天神スカイホール」は、レストランや会議室などを備えた出会いと憩いの空間。約2年前に誕生して以来、天神の華やぎを演出するスポットとして、多くの人に親しまれています。食や交流、街づくりなどを主題にして同ホールの座談会シリーズも好評です。今回は「新たな天神のにぎわいをつくろう」をテーマに、天神を代表する三つの商業施設のトップが、同ホール自慢の料理を楽しみながら語り合いました。

3施設それぞれの特色インバウンド対応策も

ー各施設の歴史や現況などをお聞かせください。

柚木 博多大丸は、今年6月で店舗開業65周年を迎えます。福岡市博多区呉服町から天神に進出したのが、1975年です。96年に岩田屋さんが「Zサイド」を出店し、97年には福岡三越さんがオープンした「第3次天神流通戦争」の真っただ中、弊社は97年にエルガーラビルに東館を増床して集客力を強化しました。さらに2002年の天神地下街の延伸工事開始で地下街との連絡通路が閉鎖された時は、地下から地上までお客さまのお荷物を運ぶサービスを実施するなど、ピンチのたびにチャンスに変えて成長してきた経緯があります。

中野 博多大丸さんが02年に始めた黄色い傘の貸し出しは、顧客サービスを大切にされ、大好評でしたよね。天神地下街は誕生して今年で42年になります。19世紀の欧州の街をイメージしたデザインで、店舗が目立つような照明計画にしています。05年の延伸(230㍍)により現在は全長590㍍、1日の利用者は20万~30万人を数えます。

渡邉 地下街の落ち着いた照明は、本当に心地いいですね。弊社が運営するイムズの開業は1989年で、来年4月に30周年を迎えます。オープン時から「情報発信基地」「時代波震源地」という斬新なコンセプトを打ち出し、小売りだけにとどまらない姿勢を評価していただいていると感じています。

ー福岡が国際的に注目される中、工夫されていることは。

柚木 訪日外国人観光客(インバウンド)にかんしては、決済システムに着目しました。アジアを含む海外ではキャッシュレスが浸透し、特に中国ではスマートフォンを使った決済が主流です。外国の方の需要が高い売り場には、端末決済ができるシステムを積極的に導入しています。

渡邉 先日、久しぶりに訪れた韓国では、以前にも増してカード決済が進んでいました。現金を持つ必要がなくなる仕組みづくりは、大きなテーマですね。

中野 天神地下街でも、既設のWi-Fi(ワイファイ)環境整備や外貨両替機に加え、端末決済システムの導入が急務です。創業40周年記念で手掛けたトイレの改装が好評で、旅行の口コミサイトでも高く評価されてました。そのような部分もアピールしながら、インバウンドの方にさらに来ていただける工夫を重ねていきたいです。

協力しながら取り組み エリア全体を盛り上げ

ー天神地区のにぎわいづくりも含めて、どのような取り組みをなされていますか。

柚木 開業65周年を未来に向けた新たなスタートと位置付け、多くのことに挑戦します。エルガーラ・パサージュ広場が持つ天神のランドマーク的なくつろぎの場としての魅力をいかに高めていけるかを、社内勉強会で検討しています。天神の各施設が共存共栄しながら、この街をどのように活性化していくかも話し合っていきます。

中野 天神地区の15の大型商業施設・店舗からなる「都心界」と共に多彩な企画も実施していますが、やはり各商業施設が一致団結していくことが鍵でしょう。

渡邉 地下街を軸に、天神全体を巨体なショッピングセンターとして捉えるのが、近道では。各施設が連携して街を盛り上げていくコンテンツを探し、お客さま目線で実現していく。ニューヨークのように、訪れる人をいつでもワクワクさせられるようにエリアマネジメントを推進していくことが重要です。

中野 天神中心部の老朽化したビルを建て替える「天神ビックバン」や福岡市市営地下鉄・七隈線を天神南駅から博多駅まで延伸することによる人の流れの変化なども、見据えないといけないですね。

柚木 七隈線の延伸で、一大観光スポットのキャナルシティ博多と天神が結ばれます。マーケットサイズを広げるチャンスと捉え、博多エリアとも連携を図っていきたいと考えています。

渡邉 社会のニーズを踏まえながら、各店が一層魅力を高めていく必要もありますね。イムズは昨年、美と健康や自分磨きに注目して、イタリア発の最新サイクルフィットネスのスタジオをオープンさせました。

柚木 百貨店もモノからコトの時代に移りつつありますが、やはり収益の基盤は小売りです。地元企業の使命として、収益を上げきちんと税金を納め雇用を拡大し、福岡の街や人に貢献していきたい。このような思いが経営の根本にあります。

社会貢献の部分も意識 働きやすい環境づくり

ー天神をさらに元気にする、今後のポイントや思いなどを。

渡邉 柚木社長も触れられた地域貢献的な視点は欠かせません。天神という街で、どのような社会貢献ができるかを探り、実現していくことが大切です。イムズでは2016年11月に、保護者が子どもを見守りながら働ける場「ママスクエア」を設け、かなりの反響がありました。

中野 地下街で働く方から託児サービスの要望はあります。そこで地下街単独でなく、天神地区の商業施設が協力して保育サービスを実現できれば、働きやすい環境が整いより優秀な従業員が集まり、全体のプラスにもなるでしょう。

柚木 社会貢献度がますますお客さまの支持を得るポイントになると感じています。弊社では現在、同じJ・フロントリテイリンググループの福岡パルコ、下関大丸と合同で、九州全体のモノやコトを知り、新しいビジネスチャンスにつなげ、それらを全国やアジアに発信するための勉強会を開いています。天神の各施設の若手社員の方にも参加していただき、各社のコラボレーションで社会貢献につながる新規事業を企画するなど、広がりが出ることを期待しています。

左から イムズ 三菱リテールマネジメント取締役 常務執行役員 九州事業本部長 渡邉 眞幸氏                                大丸福岡天神店 博多大丸 代表取締役社長 柚木 和代氏                                                                    天神地下街 福岡地下街開発 代表取締役社長 中野 計雄氏