column

才食兼美 天神スカイホール座談会 vol.5

天神から新たな食のコレボレーション

福岡市・天神の西日本新聞会館16階の「天神スカイホール」はレストランや会議室を有する多目的空間で、くつろぎのひとときを提供しています。同ホールが展開している食文化や街づくりなどについて語る座談会シリーズも好評です。今回は、明太子を製造・販売する「ふくや」の川原武浩社長と天神スカイホールをプロデュースする「ソニックスポーツ」の力久幸一朗社長、同ホールの橋元正治料理長が、「新たな食のコラボ」をテーマに語り合いました。

めんたいと洋食の融合 定番となる得る美味を

ースカイホールでふくやとの共同開発メニューを出すそうですね。

橋元 ふくやの営業の方と仕事を通じて親しくなりました。明太子を使った新しいメニューを提案して、お客さまにより一層喜んでいただこうという話に。しかしスカイホールはフレンチが主流で、トウガラシや魚卵はあまり使いません。明太子を洋食に落とし込むのは簡単ではないのです。

川原 魚卵の臭いをうまく消さないと難しいものがあるかもしれませんね。

力久 明太子は福岡を代表する食品の一つなので、魅力的なメニューが出来上がると良いですね。

川原 めんたいパスタやめんたいフランスパンは定着していますが、福岡でも洋食で明太子メニューを提供しているところは割と少ないです。メーカー視点ではなかなか料理の開発までたどり着きません。

力久 めんたいパスタのように、大ヒット商品を出すことができれば。「まあまあいける」ではなく「めちゃくちゃおいしい」レベルを目指すべきですね。

橋元 レストラン「ル・ブション」で4月から展開するふくやさんとのコレボメニューでは、明太子はホワイトソースに合うので、「明太子とショートパスタのグラタン」を提供します。

川原 明太子は乳製品や炭水化物、油分と相性がいいんですよ。ホワイトソースは全てを満たしているので間違いないでしょう。

ふくや社長 川原 武浩氏

時代のニーズにこたえる 新しい商品を形にして

ー今後、明太子はどのような展開を考えられていますか。

川原 10年ほど前から、まずパスタの本場であるイタリアで流行らせ、明太子の販路拡大につなげていこうと模してきました。今春からは、イタリアの食品企業との取引を開始します。

橋元 めんたいパスタの味は抜群なので、イタリアでも喜ばれるでしょうね。

力久 イタリアへ行くとパスタ自体は絶品だけれど、ソースが合わないと感じます。イタリアの方もめんたいパスタのソースをおししいと思ってくれるのではないでしょうか。

川原 そうなるように頑張りたいです。核家族化が進み明太子を切ってご飯にのせて食べるという方が減少していく中、弊社はお客さまが手軽に食べられ、いろんな料理にも応用できる商品も開発してきました。明太子の油漬けの缶詰や明太子とツナを合わせた缶詰、チューブ入りの明太子なども販売しています。

力久 時代性というのは私も感じていることころです。ホテルマリノアリゾート福岡がプロデュースする天神スカイホールは基本的に地産地消の食材を使い、創意工夫した料理を提供しています。バブル期を体験した私たち以上の年代の方は上質なおいしさに触れる機会に恵まれてきましたが、そのチャンスが減った若い世代に通用する食の提案が一つの課題だと感じています。

川原 私はちょうどバブルが終わった直後の世代なので、あまりおいしい思いができませんでした(笑)。

橋元 私も川原さんと同じです(笑)。当ホールの今春のプラントしては、これまで通り旬の食材の使用に加えて、明太子の他にも博多和牛など福岡産の素材をさらに増やしていこうと考えています。

力久 秋には新たな試みを予定していますよね。

橋元 九州在住のフレンチとイタリアンのシェフの会「博多ミラベル21」が10月、当ホールの屋上を会場に初めて野外での食のイベントは定期的に開く予定です。

川原 有名なシェフたちが一堂に集うイベントはめったにないので、楽しみですね。

ソニックスポーツ社長〈ホテルマリノアリゾート福岡 最高経営責任者(CEO)〉 力久 幸一朗氏

福岡の食文化を発信し地域と共に歩んでいく

ー今日の食事メニューのポイントをお聞かせください。

橋元 「めんたいパイ包み焼き」は、明太子を生の状態で仕上げるためにあらかじめ凍らせて焼き上げました。「明太グリビッシュソース」は、ビネガーを使うと明太子に火が通ったような状態になるので、オマール海老にレモンのドレッシングをかけるなど、明太子のおいしさを損なわないように工夫しています。

 

ー料理のご感想はいかがですか。

川原 どの料理もおいしかったですね。明太子と酢は合わないと思い込んでいましたが、今回のオマール海老のように、間に食材を挟んで合わせるという調理方法があるのだと勉強になりました。

力久 より多くの方に満足していただくことを目指す天神スカイホールでは、一部の人にとっての100点ではなく、全部の方から90点以上を頂ける料理を提供していきたいと思っています。

ー福岡の食文化を発信する皆さんの理念をお聞かせください。

力久 ふくやさんは苦心して作り上げた明太子のレシピを最初からオープンにし、社会貢献にも力を入れてきた企業として知られていますね。

川原 創業者の祖父は福岡県三輪村(現筑前町)出身で、戦後に福岡市博多区中洲で店を開いたのです。地域の人に受け入れてもらった感謝を心のに深く刻み、博多祇園山笠や博多どんたく港まつりなど地域のための支援を惜しみませんでした。その精神はずっと受け継がれ、今後もそれには変わりません。地域が輝いてこそ、地域に息づく企業も輝くことができます。

力久 どのような業界でも、まさに自分さえよければいいという時代ではなくなってきていますよね。企業も社員の幸せや地域のために力を尽くし、お客さまに支持されて初めて成り立ちます。私もそこを目指し、努力し続けていきたいと思っています。

橋元 当ホールも地域と共にありたいと考えています。地域の皆さんにお越しいただき、おいしい料理といろんな交流で幸福なひとときを過ごしていただく。そんなおもてなしの場であることを大切にしています。ふくやさんとのコラボや「博多ミラベル21」のイベントなど、今後も一層ご期待ください。

天神スカイホール 料理長 橋元 正治氏