column

西日本新聞会館40周年 天神スカイホールReBORN[第2回 記念座談会]

福岡の食の魅力とその発信
メード・イン・福岡のおいしさを、全国へ、世界へ

 昨年、西日本新聞会館(福岡市中央区)は開館40周年を迎え、16階の福岡国際ホールをさらに多くの人が集い交流する場へと一新。「天神スカイホール」としてリニューアルオープンした。これを記念して「にぎわいのある福岡の街づくり」を主題にスタートした座談会シリーズ。第2弾は「福岡の食の魅力とその発信」をテーマに、〝おいしい〟をさまざまな面から支えるキーマンが、県産農林水産物の素晴らしさや、さらなる活性化について語り合った。

福岡県副知事 服部 誠太郎氏
アサヒビール理事九州統括本部長 北村 直樹氏
株式会社ソニックスポーツ社長(ホテルマリノアリゾート福岡CEO)力久 幸一朗氏
ホテルマリノアリゾート福岡・天神スカイホール総料理長 日下部 誠氏

山海の幸に恵まれた福岡県
全国14位の農林水産業産出額

 ― まず、それぞれの会社や組織の業務内容の紹介を。

 服部 福岡県は豊かな自然環境を生かし、全国に誇れる農林水産物が数多く生産されているというのが大きな特色で、農林水産業産出額は全国14位の農林水産業県です。人気のイチゴ「あまおう」や食味で高い評価の県産米「元気つくし」などブランド品も数多い。筑前海、豊前海、有明海とそれぞれ特性が異なる三つの海があり、「天然とらふぐ」や「のり」、「かき」など多彩な魚介類の産地でもあります。

 北村 アサヒビールに入社して、転勤でいろいろな土地を回りました。福岡のように新鮮で質のいい山海の幸に恵まれている所は実は珍しいと思います。とても幸せな環境ですよね。

 力久 私どもが経営する福岡市西区にあるホテルマリノアリゾート福岡では、地域に密着したホテルでありたいとの思いもあり、県内でも農産物の宝庫として知られる糸島の食材を使った料理を提供しています。私どもは昨年から天神スカイホールの運営もさせていただき、こちらのレストランでも糸島産の素材をふんだんに使ったおいしさでおもてなしをしています。

 日下部 ホテルマリノアリゾート福岡からすぐ近くの糸島は多様性のある自然環境で野菜、果物、畜産物、魚介類と一地域で全てそろい、しかもどれもクオリティーが高い。多品目栽培も盛んなので、常に多種の野菜や果物があるのも理想的です。糸島のポテンシャルは本当に素晴らしい。

 服部 糸島は農林水産物のバランスがいいですね。豚の出荷頭数も県内では糸島が1位です。

 日下部 直接、糸島の農家に出向き生産者といろいろ話をして食材を仕入れています。

 北村 話をお聞きするほどに、あらためて福岡の食の魅力を感じます。当社の生業である「ビール」は、いわば料理の脇役的存在だと思っているのですが、当社の博多工場は1921年の創業以来、豊かな福岡の食文化と共に歩んできました。今後も福岡の食材に寄り添えるおいしいビールを造っていきたいものです。

博多地鶏 しっとりと火入れして糸島野菜と一緒にサラダ仕立てにトリュフとスモークした「またいちの塩」の香りで

糸島産の旬の食材で「おもてなし」
多くの人が集う天神スカイホール

 力久 天神の中心部にある天神スカイホールでは、交通アクセスも便利なことから多くの方に利用していただいています。

 北村 オープン以来当社でも利用しています。天神・博多には65年も前に発足したアサヒビールのファン組織「アサヒ会」があり、アサヒビールと料理を楽しみながら会員同士が親交を深める集いを天神スカイホールで月に1、2度、実施しています。毎回200人近くの方が参加して盛況です。場所が便利で料理もおいしいと評判です。

 日下部 例えば「アサヒ会」では、和洋織り交ぜてビールに合う料理をお出しすることを心掛けています。利用される方のことを考え毎回スタッフで試食会を開き、いろいろな意見を聞きながらメニューを完成させていきます。

 服部 このような大勢の人が集まる場所で、これからももっと福岡県産の食材を使っていただければうれしいです。

 日下部 地元の食材を大事にしたいという思いが強くて。地元に応援団がいるのといないのでは差が大きいですよね。まず、地元の方にこそ福岡ならではの美味を楽しんでいただきたいのです。

 服部 全くその通りです。県民や企業の皆さまに県産食材の素晴らしさを分かっていただくのが第一。県では「ふくおかの農業応援団」を結成しています。一つは積極的に県産農林水産物を購入していただく「応援ファミリー」で、現在、約2万5千世帯に登録していただいています。もう一つは、年間を通して県産農林水産物を使った料理を提供していただく飲食店やホテルなどの「応援の店」は約1100店舗あります。ぜひ、皆さまにも参加していただければ。

 力久・日下部 もちろんです。喜んで。

 服部 応援ファミリーの方々を農業体験などのツアーにもお連れしているんです。都市部に住んでいる方にも中山間地などで農業を営む大変さなどを理解していただき、できればその地域を支えてもらいたいという願いもあります。支えるといえば、アサヒビールさんには福岡県水源の森基金、共助社会づくり基金に寄付をしていただき感謝しています。

 北村 2009年から展開中の、スーパードライの売り上げに応じて環境保護・保全活動などに寄付をさせていただく「〜うまい!を明日へ! プロジェクト〜」の一環です。ビールは、さまざまな自然の恵みからつくられている、という思いで行っていました。

福岡ならでは食の素晴らしさ
さらに国内外に発信していく

 服部 今年度から新たに、県庁内に「福岡の食 販売促進センター」、東京事務所には「福岡よかもん・よかとこプロモーションセンター」を設置し、全国の皆さんに福岡の農林水産物を知っていただく取り組みを展開しています。例えば、首都圏の百貨店での福岡の農林水産物の販売や、ホテル・レストランでの福岡の食材を使ったフェアの開催などを行っています。農林水産物の輸出拡大にも力を入れ、特に香港や台湾、シンガポール、タイなどアジアを中心に青果物や八女茶などを出荷しています。

 北村 当社博多工場の見学者は年間約17万人。そのほぼ半数が海外からのお客さまで、そのうち約8割が韓国の方です。博多工場で造ったビールは韓国にも輸出しており、同国内ではスーパードライが輸入ビールのトップブランドになっています。近距離ゆえの造りたての新鮮さが好評いただいているようです。アジアに近いというのは福岡にとって大きなメリットですね。

 服部 国内だけでなく、アジアを中心とした海外に福岡の食材をさらにアピールするためにも、「あまおう」「ラー麦」「元気つくし」「はかた地どり」「博多和牛」「鐘崎天然とらふく」など、独自に開発・ネーミングしてブランド化に努めています。最近の新品種では、世界初の種がほとんどない甘柿「秋王」、今秋デビューする県産米「実りつくし」があります。ブランドは開発だけでなく維持するのも大変で、ひとえに生産者の方々の毎日のご努力のたまものです。

 日下部 いつも生産者の真摯(しんし)さや情熱には頭が下がります。生産者が手塩にかけて育てた農産物にはそれぞれの人柄が味に出ており、奥深いものがあります。その部分の盛り付けを含めて表現する料理を作り続けていきたい。それが福岡の食材のレベルの高さを広く理解してもらうことにつながると信じています。

 力久 おいしい材料でも調理法や見せ方、雰囲気も大事です。私どもも天神スカイホールやホテルマリノアリゾートが福岡の食の一つの発信拠点という意識で、今後も糸島の食材の魅力を最良のアプローチでお客さまにご提供し続けていきます。

 北村 常に「うまい!」と思っていただけるおいしいビール・お酒をつくっていくこと。それこそが福岡の豊かな食材・食文化に寄り添うことになり、アサヒビールファンの皆さまへ福岡の食の魅力を伝えていけるものと思っています。

 服部 近年、東南アジアなどからの来訪が増えており、ハラール(イスラム教徒が食べられるもの)についても事業者の方々と勉強しています。官民が一体となって、国内外のお客さまに福岡の食を楽しんでいただける環境づくり、福岡県の農林水産物の素晴らしさの発信に一層取り組んでいきたいと思います。